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2007年9月28日岳南朝日新聞 / あいて~(IT)物語3

富士宮市が自治体として県東部初のSNS導入へ

富士宮市 小室直義 市長

 富士宮市はインターネットを活用した新しい情報システムの構築を目指しており、コミュニティサイトとして知られるSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の導入を検討している。地域社会で希薄化したコミュニティーを築く上でも有効といわれており、導入が実現すれば県内では掛川市に次ぎ、県東部地区では自治体として初の導入となる。地元では民間によるサイトSNS「ふじでこ」が先進的な取り組みを開始しており、官民コラボによるSNSの実現も期待される。小室直義市長にSNSの感触と今後の抱負を聞いた。

 ―ITのインフラ整備に関心を強めた動機は

 小室 市政運営においては、もともと市民に対するきめ細かな情報提供をしていくべきと感じているが、社会を取り巻く環境の中で地域コミュニケーションの希薄化が騒がれており、従来とは異なる新たな地域コミュニケーションシステムの構築を図ることが急務と認識している。

 例えば、少子化社会に伴う子育て支援の要請が強まっており、現在でも「広報ふじのみや」による若い年代層への周知を図っている。また、児童の安全に配慮した携帯電話による不審者情報提供をPTA単位で行うなど、子供の情報に対する市民のニーズは量的にも質的にも非常に高く、より敏速で豊富で幅広い対応が求められる。また、単なる情報連絡にとどまらずコミュニケーションを通してネットワークを築いていくことにより、市民が気軽に悩みを相談できたり、まちづくりに活動参画していける場をつくるためにはインターネットを活用した情報政策が有効ではないかと感じている。

 ―具体的にはどのような展開を目指すのか

 小室 施政方針で公約を掲げてから一年間の研究を重ねた結果、SNSの具体的手法に着目した。富士宮市としてはこれを活用し、行政版SNSを年度内に立ち上げていきたい。

 現在、担当の情報政策課で構築実現に向けた事業内容を検討中だが、一般社会にみられるSNSの汎用性を検証していく中では、ローカリティーの特色を生かしたSNSの活躍が見られ、この形態が市の目指すシステムに適していると思われる。

 富士地域では、すでにSNSサイト「ふじでこ」さんが先進的活動を続けており、ぜひともコラボレーションを実現させていきたいと思う。

 ―SNSの有効性をどうとらえているか

 小室 インターネットでまず想像するのは、心ない人の中傷誹謗(ひぼう)といったモラル面や、悪質商法によるネット販売の被害など。「相手の顔が分からない」といった不安もある。しかし、SNSは会員制であるため、「安全・安心」をキーワードに利用できる。これが大きな特徴だと思う。

 また、パソコンを使うということになると苦手意識を抱く人も多いが、かなり簡単な操作で利用できるメリットがあり、パソコンでなくても携帯電話でも利用できることから、より多く市民が参加しやすいという利点がある。こうした特徴を最大限に生かしたシステムを構築していきたい。

 ―今後の展開としては

 小室 いずれにしても今までにはない富士宮オリジナルのSNSとしたい。市民が信頼できる整備環境を築き、SNSを通して行政の“顔”がみえる、または市民の声を反映できる市政運営ができればと思う。地域コミュニティの充実を目指していきたい。

富士宮市情報政策課長 高橋正行さん

 IT政策の担当課長が自ら「ふじでこ」に参加し、地域SNSのもつ可能性に触れてみた。

 今まで自分のホームページを開設したことはあるが、地域SNSを利用したのは今回が初めて。やってみて分かったのは「垣根がない」こと。インターネット上で会話を交わしているのにお互いが軽い気持ちで意見交換ができ、メールのやりとりをし、スムーズに溶け込むことができる。

 サイトで話し合うことも全国規模のSNSと違い、身近な地域の出来事など共通した話題であるため、実生活に結びついていることがとても親しみやすい。このつながりを繰り返していけば、コミュニケーションも上達してくるのではないかと感じた。

 現在、市ではホームページや携帯サイトを利用して市民に情報を提供しているが、SNSのようなコミュニケーション機能を有して市民と情報交換できるようになれば、非常に有意義ではないかと思い、他の手法と合わせて導入実現の可能性を模索している。

 SNSが市政に反映する手法はさまざま考えられる。例えば今、富士宮市内では児童の安全を配慮して不審者情報を流す学校も出てきているが、各校単独で情報交換するよりも、市域全体で意見や情報、活動をまとめる場所があれば市民もさらに活用しやすくなるのではないか。

 また、地震防災に関して自主防災会が避難所情報を流す際にも、ありふれた情報内容を提供するにとどまらず、より留意点をクローズアップした情報交換が可能となり、従来のホームページとは違った展開を図れるのではないかと期待する。

 地域のイベントでは、既存メディアで「何が行われた」との結果を知るだけでなく、これから行うイベントがどのような内容で、どんな魅力があるのかを分かりやすく伝えることにも大きく力を発揮しそうだ。そうなればイベントへの参加率も増えて、ますます盛り上がるようになるのではないかと思う。

 最近では、富士山が世界文化遺産の暫定リスト入りを果たしたが、こうした地域の話題に対して、住民が自らが、コミュニティーボードを立ち上げて課題解決に向けたディスカッションを活発化させていくケースも考えられる。そうすれば行政側としても市民が実生活の中で何を問題としているのか把握できるようになり、市民のニーズに合った行政施策も立てやすくなる。

 その一方で課題もある。政策に市民とのコミュニティー機能を盛り込んだとき、状況によっては職員が仕事と遊びの境界線を引くことが困難となる。行政としては地域住民が欲しい情報を流すのが役割。こうした課題克服と責務遂行を両立させ、新しい時代の情報システムを構築していけるよう頑張りたい。

SNSふじでこ代表 植松雅貴

 都市部に全人口の半数以上が集まる昨今では、地方はより強い“まち”になることが求められています。この実現のためには、官民がバランスよく情報交換できるインフラ整備が非常に重要で、そのひとつの手段として地域SNSは有効だと思っています。地域にかかわる“人と人”が主体となり参加者全員で作り上げていく地域SNSは、利用方法によってさまざまな顔があり、可能性も無限大で、実際のまちづくりと性質が似ています。

 しかし、その一方で運営バランスには注意が必要です。行政主導型SNSの場合、税金投入による効果として公平性が求められ、活発さに欠けてしまう例が多く、一方、民間主導型であっても地域SNSのビジネス化が非常に難しく、採算性を度外視しなければ運営できません。実際のまちづくりと同様に市民団体やNPOなどの各種団体の民間活力と行政のポテンシャルがほど良く調和され官民協働で地域一丸となって育てていくことが理想です。

 SNSが活発化してくれば、様々な活動団体が地域に生まれるなど「人と人とが結びついてまちが今以上に強くなる」という可能性を秘めています。SNSを介し、地域の特色や潜在価値の発見・再認識につなげ、元気な魅力あるまちづくりに役立てて欲しいですね。

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